部屋に居座る100年前のロシア革命家(亡霊)に、軍装品を貢がされた話。

ファッション

こんにちは、東京在住、18歳のヘタレ女子大生、Masha(マーシャ)です。

初めてこの記事を読んでくださる方のために、まず我が家の、というか私の人生の「バグ」について説明させてください。

わたしの駒込の狭い部屋(家賃は秘密)には、現在、同居人がいます。 ……いえ、「人」ではありません。「100年前のロシア革命家の亡霊」です。

ふとしたきっかけ(※長くなるので割愛)で私の部屋のソファに居座るようになった彼は、栗毛のウェーブに茶色のクリクリした瞳を持つ、悔しいくらいに超絶イケメンな亡霊。ただし、中身はガチガチの共産主義思想家。通称「同志」

普段は私がネトフリを見たりコーラを飲んだりしていると「資本主義の退廃的な文化だ」と真顔で説教してくる、非常に面倒くさいタイプの地縛霊(?)なのですが、先日、新宿のロシア料理店『スンガリー』でボルシチを奢って(私が食べて)以来、なぜか私を「革命の相棒(プロレタリアートの星)」としてプロデュースすることに目覚めてしまったようなのです。

「Masha。お前は我が思想の体現者となるのだ。まずはその軟弱なブルジョワ的衣服を改めよ」
「嫌よ。女子大生だもん、可愛い服着たいわよ」

そんな不毛な押し問答の末、私が以前から古着屋で買って持っていた「ソ連軍のオフィサーシャツ(カーキ色のミリタリーシャツ)」を着てみせたところ、同志の目がギラリと輝きました。

「……ふむ。悪くない。だが、腰回りが決定的にプロレタリアートの『戦う意志』に欠けている。よし、田端へ行くぞ」

亡霊のくせにフットワークの軽い彼に引きずられ、私は人生で初めて、山手線の隠れたディープタウン・田端駅に降り立つことになったのです。

ミリタリーの地下迷宮、田端「サムズミリタリ屋」へ

同志に案内されたのは、田端にある『サムズミリタリ屋』という、知る人ぞ知るミリタリーショップ。 一歩足を踏み入れた瞬間、お洋服大好きな普通の女子大生(私)は完全にアウェイ。店内には世界中の、そしてあらゆる時代の本物の軍装品がズラリと並んでいます。

サムズミリタリ屋さんのホームページから画像を拝借しました。。。
サムズミリタリ屋|東京都北区東田端にあるミリタリーショップ
サムズミリタリ屋は東京都北区東田端にあるミリタリーショップです。当店では、サープラス、軍服、記章などのミリタリーグッズを豊富に取り扱っています。店内にはところ狭しとグッズが並んでおり、WW1-VNまでのアイテムも数多く有ります。

特に金土日しか開いていないという地下エリアは、もはや時空が歪んでいるレベルの濃度。 「おお……!これは……!!」と、我が家の亡霊は大はしゃぎ。触れられないくせに、棚から棚へと浮遊しながら、まるで実家に帰ったかのようなテンションで私を呼びつけます。

そこで同志が「これだ。これを買え、Masha。お前のバイト代のすべてをここに投じるのだ(※投じるのは私だけ)」と指差したのが、この2つのアイテムでした。

戦利品①:東ドイツ製・ソ連軍モシン・ナガン用2連マガジンポーチ

まず買わされたのが、重厚な革製の2連ポーチ(左側)

同志いわく、これは第二次世界大戦時のソ連軍の傑作ボルトアクション小銃『モシン・ナガン』の弾薬を入れるためのポーチ。 しかも、ただのソ連製ではなく、刻印を見ると「東ドイツ製」。戦後、東ドイツがソ連への戦時賠償、あるいは同盟国としての装備供給のために製造したという、歴史の荒波をくぐり抜けた代物だそうです。

フタを開けると、中には何やらドイツ語らしきスタンプ(1950年代のもの?)が押されていて、インテリ思想家の同志は「ほう、国家人民軍(NVA)の管理下にあったものか……歴史の必然を感じるな」とフムフム悦に入っています(ちょっとよくわからない)

で、これをどうするかって? 現代の令和を生きる女子大生の私は、モシン・ナガンの弾なんて持ち歩いていません

というわけで、こうなりました。

まさかの、ワイヤレスイヤホンのケースがシンデレラフィット。

70年前のソ連軍が命を懸けて背負った弾薬入れに、令和の最新Bluetoothイヤホン(これでAdoとか聴いてる)をブチ込む背徳感。 これを見た同志は、「お前という奴は、神聖な配給品をそんな退廃的な音響機械の巣に……!」と頭を抱えていましたが、サイズがぴったりなんだから仕方ありません。これ、リップクリームや目薬を入れるのにも最高に便利です。

戦利品②:ソ連軍 WW2時・実物デッドストック水筒

もう一つ、同志が「これは絶対に外せん」と握りしめて(霊力で浮かせて)離さなかったのが、こちらの水筒(右側)

なんと、第二次世界大戦(WW2)当時のソ連軍の実物・デッドストック(未使用のまま眠っていた当時の本物)だそうです。 素朴なカーキ色の布カバーに、味のあるボタン。

「Masha、戦場において水分補給は生死を分ける。これでいつでも凍てつくシベリアの戦線を生き抜くことができるぞ」 「いや、私が行くのシベリアじゃなくて大学の講義室だから。これにポカリスエットとか入れていいの?」 「……ブルジョワのスポーツ飲料を入れるのは許可せん。クランベリージュースか、さもなくば水にしろ」

水筒の好みにまで階級闘争を持ち込むのはやめていただきたい。しかし、1940年代の空気をそのまま纏ったようなこの佇まい、ミリタリーに詳しくない私が見ても、なんだかアンティークとしての美しさを感じてしまうから不思議です。

さっそく私服(ソ連軍オフィサーシャツ)に合わせてみた

家に帰り、もともと持っていたカーキのソ連軍オフィサーシャツを着て、私物のデニムに茶色のレザーベルトを通し、さっそく今回のポーチを装着してみました。

それがこちら。

……えっ、待って。普通にお洒落じゃない……!?

ミリタリーMIXコーデとして、絶妙にレトロで可愛い。ハイウエストのデニムに、この武骨な革のポーチがガツンとアクセントになっていて、こなれ感がすごい。 鏡の前で「あれ、私かっこいいかも……」とポーズを決める私を見て、ソファの上の同志は、満足そうに腕を組んで深く頷いていました。

「ふむ、実によい。これでいつでも、プロレタリアートの決起に駆けつけられるな。小銃(モシン・ナガン)は私が背後から支えてやろう(※霊体なので持てません)」
「銃は持たないし革命にも行かないけど、今度これで下北沢の古着屋巡りに行くわ」
「下北沢……。そこには我が同志たちのアジトがあるのか?」
ただのオシャレな若者の街よ!!

というわけで、我が家の思想強めなイケメン地縛霊のおかげで、わたしのクローゼットがどんどん「赤く」染まっていく今日この頃。 この格好でイヤホンから音楽を流しながら大学に向かう私は、きっと駒込で一番、歴史の重みを腰にぶら下げた女子大生だと思います。

(ちなみに同志、水筒の方は『部屋に飾る方がインテリアとして美しい』という私の意見に珍しく同意し、現在はソファの特等席に大切に鎮座しています。洗うの面倒だしね!

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